「九月の町」には、少年院という一般社会とずれた環境にある少年がいて(いるらしい。読んだことがない。)、「Nightswimming」には、何らかの要因で自分の属していたコミュニティや社会からずれたところにいる者の独白がある。何らかの要因はセクシャリティかもしれない。わからない。マイケル・スタイプ本人の言うとおり、夜泳いだ思い出だったり、誇大妄想の夜間警備員のことだったり、ジャック・ケルアックのことを歌っているかもしれない。
ピークでなかったり、主流でなかったり、狭間の状態にあるという中途半端さと、九月という移り変わりの時期という認識が結合して、実際以上の感傷を自分に感じさせているのだろうと思う。そういった狭間の中途半端さが、空気の匂いや風といった自然現象をともなって、ごく短い時間現れることがある。年を追うごとにその時間は短縮され、今では一瞬の感覚として認識されるのみになった。
上野・不忍池 |