―あなたにそのような倒錯的嗜好が身についたのはいったい何がきっかけなのですか?
―ええ、私は昔、写真を趣味にしていたんですがね、そのときに大きなカメラを首から下げていたんです、それでねえ、おかしな話ですが…往来でそんな黒光りする物をぶら下げて堂々と歩いているということに、あるときから快感を覚え始めてしまったんですね…
―それがあなたを性倒錯の世界へ送り出したと、そういうことなのですね。
笑ってくれてもいい。しかしこのような未来を避けるために、フットワークを軽くするために、装備の取捨選択を考えなければならぬ。外を歩く足どり、カメラを取り出す手つき、バッグを背負う動作、そのひとつひとつに暗い影が落ちている。大手を振って表通りを歩く人間ではなかったということだ。
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